成年後見
成年後見制度とは
平成12年4月民法の改正により、従来の禁治産者、準禁治産者の制度が廃止され成年後見制度が開始されました。禁治産者、準禁治産者は戸籍に記載されましたが、成年後見制度は戸籍には記載されずに登記によって行われます。
この制度の趣旨は認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力の不十分な方を、家庭裁判所から選任された後見人等が、悪徳商法などの被害から守り、ご本人の権利を守り登記によって行われます。
成年後見制度を利用できる人
認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力の十分でない方
- 認知症の方
- アルツハイマー型認知症
- 脳の萎縮による認知症で徐々に進行する。
- 脳血管性認知症
- 脳梗塞・脳内出血などにより脳の組織が壊れることで起こる。急激に発病し再発しない限り進行しない。
- レビー小体変成症
- 脳の神経細胞内に、レビー小体という物質が多数現れ、認知機能の障害により、幻想・妄想といった精神症状が発生する。
- ヤコブ病、ピック病、水頭症など
- 知的障害者
- 18歳未満の発達期に現れ、年齢に比べて社会生活能力が低い。
- 都道府県知事発行の「療育手帳」を所持していること。
- 精神障害者
成年後見制度の種類
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見契約の2種類の制度があります。
法定後見は家庭裁判所による審判であるのに対し、任意後見は契約に基づくものです。
対象 | 認知症・知的障害・精神障害等により判断能力が減退した者 |
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手続き | 申立人(4親等内の親族・市町村長等)の申立てにより家庭裁判所が後見開始及び後見人決定の審判を行う |
判断能力の程度により「後見」「保佐」「補助」の3段階がある※ |
判断能力と後見の関係
- 後見
- 判断能力を常に欠く状態
- 保佐
- 判断能力が著しく不十分な状態
- 補助
- 判断能力が不十分な状態
- 任意後見契約
- 判断能力がある状態
成年後見制度でできること
1.財産管理
- 金融機関との全ての取引
- 居住用不動産の維持・管理
- 日常生活での金銭管理
- 寺社等への寄贈(本人が行っていた寄付・寄進の継続)
- 本人に必要な衣類や生活用具の購入
- その他の財産の管理、維持及び処分
1.身上看護
- 医療、入・退院等に関する契約や費用の支払い
- 本人の住居の確保に関する契約や費用の支払い
- 福祉施設等の入退所・通所に関する契約や費用の支払い
- 介護、リハビリ、保健、福祉に関連して必要な申請、契約及び費用支払い
- 教育、就労、その他社会参加に関する契約や費用支払い
前述の①~⑤に付随して、後見人の職務遂行に不可欠な行為
- 本人の心身状態、生活状況、社会参加に対する希望の把握及び意思確認
- 本人の住居を決めるための情報収集及び意思確認
- 本人の住居の維持、快適な住環境保持のための状況把握
- 福祉施設などの決めるための本人の意思確認
- 福祉施設等への定期訪問による処遇に対する監視・監督
- 福祉施設等を利用する本人の意思・苦情の聴取
- 本人を取り巻く支援関係者との連絡、調整
- その他契約の履行に関する追跡調査
3.その他
- 相続手続き
- 手続き上の異議申し立て
- 法定後見の場合の裁判手続き
- 精神保健福祉法上での「保護者」として医療保護入院に関する「同意権」の行使
成年後見制度でできないこと
- 医療行為について同意すること。
- 身上看護に含めることができないもの
- 身元引受人、身元保証人の引き受け